プロジェクト研究

プロジェクト研究

2018年度の取り組みの報告

3年次の演習科目である「イノベーション・ラボ」の準備科目として、カリキュラムの2年次に配置されている「プロジェクト研究」。経営学部の第1期生が2年次生になり、秋学期を迎えた2018年9月、ついにその「プロジェクト研究」がスタートした。

今年度は、その連携企業として協力をいただく各団体様から提案されたテーマに基づき、2年次生134名が次の2つのテーマに分かれて、それぞれのプロジェクトに取り組んだ。

概 要

実施年 2018年度
連携企業 吉備中央町、特定非営利活動法人吉備高原サラブリトレーニング
キーワード 自治体、地域活性化
参加学生 62名(2年生58名、ファシリテーター4名)
参加教員 8名
実施年 2018年度
連携企業 三井不動産商業マネジメント株式会社
協力 グローバルプランニング株式会社
参加学生 82名(2年生76名、ファシリテーター6名)
参加教員 8人

1つが、2018年8月31日に地域連携包括協定を締結したNPO法人吉備高原サラブリトレーニングと吉備中央町で課題を解決する「吉備チーム」。

もう1つが、グローバルプランニング株式会社にご協力を頂きながら、三井アウトレットパーク(MOP)倉敷の課題解決を行う「MOP倉敷チーム」である。

なお、こういったプロジェクト活動には、グループ内のメンバーのアイデアや意見を引出し、整理、体系化し、グループの主体的な意思決定を促すファシリテーターが必要である。今回、山口ゼミ、大藪ゼミの3、4年次生と大学院生に、その役を担ってもらった。

1回目(2018年9月22日)- キックオフ 

授業は、これから半年の間に、6回の土曜日に集中講義(毎回3時限)の形式で行われる。その第1回目の授業である。

まず、1時限目は、授業の目標や進め方を確認した後、「吉備チーム」、「MOP倉敷チーム」の2チームがさらに19のグループ(各7~8名のグル―プ)に分かれ、次回に企業から提案いただく課題の基本チームを作った。

午後からの2時限は、「吉備チーム」は、実践戦略のフレームワークを岡山理科大学招聘教授である栗山先生(USJマーケティング責任者)から、インタビュー調査の仕方など、調査方法について、大藪先生から講義を受けた。「MOPチーム」は、実践統計学と題して、実際の問題場面でデータをどのように処理し,解釈していけばよいかを森先生から、オープンデータを活用した公的データの収集や活用方法を黒田先生から学んだ。

授業終了後の学生たちのアンケートには、「USJの実績マーケティングの話が今後のさまざまな課題や議論で使えそうだ」や「課題解決を通して実践統計のデータの読み取りを学べたことが有意義だった」と、第1日目の感想にやる気がみなぎっていた。

2回目(2018年10月6日)-「吉備チーム」:フィールドワーク |「MOP倉敷チーム」:座学 

【吉備チーム】
前日まで台風接近のため、実施が危ぶまれた吉備中央町の訪問、無事、台風一過の晴天の中、2台のバスに分乗し、吉備中央町へ向かった。
吉備中央町役場の方々と現地で合流し、まず、吉備高原都市を車上より見学し、説明を受けた。
続いて、商業施設や福祉施設、研究所や工場、多くの施設等が吉備中央町に存在することを説明いただいた。

お昼には、NPO法人吉備高原サラブリトレーニングへ向かい、実際に引退サラブレッドと対面した。つい最近まで現役サラブレッドとして走っていた、非常に凛々しい引退競走馬の姿に学生たちは感激していた。
午後からはNPO法人吉備高原サラブリトレーニング、農家民宿きびっちゅ、地域おこし協力隊(株)Kibilyの皆さんに吉備中央町での活動を講演いただいた後、役場の方より課題が発表され各グループで、担当課題を話し合い、決定した。

 

吉備中央町産の商品を多く取り扱っている道の駅かようへ寄り、帰路についた。今回、初めて吉備中央町を訪れた学生も多く、1日をかけ実際に吉備中央町を見て、聞き、感じ、課題に取り組むにあたって非常に有意義な視察となった。

 

【MOP倉敷チーム】

「MOP敷チーム」は、この日の午前、招聘教授である栗山先生(USJマーケティング責任者)と大藪先生の講義を受けた(1回目の「吉備チーム」と同じ内容)。栗山先生のワークでは、USJのCM一つひとつに込められた意図を学生たちは興味深く聞き入っていた。学生からも「フレームワークの話でHOWのアイデアが出てきたときに段々と形になっていくことが楽しかった。ふとした発言が新たな物を作り出す。自由な発想を大事にしたいと思う。」と自分たちの浮かんできているアイデアを少しずつ温め始めていた。

午後は,倉敷の現状確認と課題の振り分けである。課題は以下のとおり。

3回目(2018年10月20日)- グループワークⅠ 

この日は、KJ法を使いながらブレインストーミングのグループワーク。各個人のアイデアや意見をまとめ、整理した。学生ならではの面白い発想もたくさん出た。
このグループ活動は、個々の学びとは違い、メンバー同士の相互作用がさまざまな場面で生まれる。それは建設的なものであったり、コンフリクト(対立)が起こったりする場合もある。いずれにせよ、どちらも学びとなることは間違いない。学生たちの感想には早速こんなコメントが・・・「意見をたくさん出す」、「話し合うことは楽しかった。みんなが話し合ってみんなが納得できるようにすることの大切さを痛感した」、「リーダー1人が先に進めていくのではなく、立ち止まってみんなで考えていければいいと思う」・・・。

 

4回目(2018年11月10日)- グループワークⅡ 

各チーム、それぞれ専門の先生方から指導をいただきながら、アイデアのブラッシュアップを行った。
アイデア絞りに頭を悩ませながら積極的に質問をした。
「吉備チーム」では、吉備中央町、サラブリトレーニングの方々にもお越しいただくとともに、グローバルプランニングの方々からも指導をいただいた。
グループワークも2回目となると、グループに色々な差が出てきたが、ファシリテーターの支援も得ながら、進めて行った。

学生からは「アンケートを取って根拠のある解決策を出していきたい」、「フィールドワークでアンケート調査を行いみんなでまとめていきたい」、「みんなからもっと積極的に意見が出てきたらいいな」という感想が出た。

  

【課外活動】(2018年11月23日~24日)「MOP倉敷チーム」三井アウトレットパーク倉敷にてアンケート調査

三井アウトレットパーク 倉敷さんのご協力の下、同パークでアンケートを取らせていただいた。少し肌寒い日が続いたが、たくさんの方が買い物の足を止めてアンケートに協力してくださった。最終的に、478枚のアンケートを回収でできた。

 

5回目(2018年12月1日)- 中間発表会

吉備中央町役場、NPO法人サラブリトレーニング、(株)Kibily、三井不動産商業マネジメント株式会社ほか、たくさんの方にお越しいただき、中間発表会が開催された。2チームそれぞれの部屋に分かれ、全19グループがそれぞれの成果を発表した。
まだ2年次生ではあるが、9月から多くの方々の教育・指導により、こんなに立派に発表ができるとは、という驚きがあった半面、実際に吉備中央町やサラブリトレーニングおよびアウトレットパークで採用できる提案かというと、そこは、まだまだ。座学やこれまで学んだ理論が活かされているとはいえずデータの扱いも未熟さが目立つ。審査員としての連携各企業様からも、本気のダメ出しが。もっと上を目指してほしいという親心でもあるが、本物の厳しいコメントが続く。
しかし、ここが企業とコラボするこの「プロジェクト研究」の最も良いところ。社会の厳しさに触れ,あらためて、自分たちの提案を見直し、最終発表会に臨むことになった。

 

多くの刺激をもらった学生たち。終了後も、長い時間、USJの栗山先生を捕まえて、指導を仰ぐグループもあった。
学生からは「グループでは先生方の助言などをいただいたのでその助言を活かし、今後取り組みを改善するようにする」「課題と結論がはっきりしているグループと、そうでないグループがある。はっきりしているグループは発表が堂々としていた。」「パワーポイントの見やすさや、コストのことまでしっかりと考えている点は見習うべきと感じた。」と、他のグループの発表と比べての自分たちの評価も客観的に得られたようだ。

【課外活動】(2018年12月19日)「吉備チーム」白菜の官能評価

円城白菜をテーマとするチームは、中間発表会で、実際に食べていないのにその良さがわかるのか、という講評をもらったことに対して、実際に食べて提案しようということになった。
ということで、統計学の黒田先生の指導のもと、「官能評価」による白菜の食べ比べを3日間にわたって実施した。

評価対象は、吉備中央町産円城白菜をはじめ他2種の計3種を用意した。評価の項目は学生が下記の通り4項目設定し1~5の数値で評価シートに記入する形で行った。調理方法は生食、加熱(レンジで1分半加熱)、浅漬けの3通り。また、3種類の白菜はABCと表記し銘柄等は伏せて実施した。
全てにおいて円城白菜の評価が高いという非常に興味深い結果となった。


 

6回目(2019年1月12日)- 最終発表会

半年間の結実を、「吉備チーム」8グループ、「MOP倉敷チーム」11グループが披露した。場所は、理大ホール。連携企業の方々、教員、2年次生、ファシリテーター全員が参加しての発表会である。

それぞれ、学生らしいアイデアであったり、是非実現してほしいと思うアイデアであったり。中間発表で苦い思いをしたチームは、自主的にアンケートをとりに行ったり、調査し直したり、そして、データ分析を詳しく行ったり、パワーポイントも作り替えたり、と、改良に改良を加え、会に挑んだ。

その発表に基づいて行われた審査結果が、発表会のすぐ後に行われた昼食を兼ねた反省会で披露された。各賞は、
団体・企業様から、

であった。そして、教員の評価としての1,2,3位も決定し、

という結果であった。

最後に、森副学長からの総評で、「とても楽しかった! このプロジェクト研究をやっていなかった場合ともし比較できるなら、みなさんの実力は確実にその質が上がっている!」というお言葉をいただいた。

最終発表会では、制限時間の中で、各グループの発表が次々と行われ、テンポよく楽しく聴くことができた。審査結果を見ると、上位チームはいかに習ったことを発表に取り入れているか、提案に対して、いかに論理的に根拠をもって示せているか、ということが決め手であったようである。3年次生では、いよいよ「イノベーション・ラボ」が始まる。今回身につけたことをさらに伸ばし、発展させ「イノベーション・ラボ」の課題に挑戦、成果を出してほしい。

 
 

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